全宅連出版物である《「〔新訂版〕わかりやすい重要事項説明書の書き方追補」及び「〔新訂版〕わかりやすい売買契約書の書き方追補」》から抜粋して掲載しています。

 

建物状況調査の「あっせん」に係る留意点

1.買主からの媒介依頼に対しても必要

買主側(客付)媒介業者も、依頼者である買主に対して建物状況調査の説明やあっせんの意向確認を行い、媒介契約書への「あっせんの有無についての記載」が必要です。

 

2.「あっせん」しない場合でも「建物状況調査」等の説明は行う

上述のとおり、宅建業者は媒介契約書に「建物状況調査を実施する者のあっせんの有無」について記載する必要があるため、売主又は購入希望者などに対して、建物状況調査の制度概要等について紹介することが求められます。その上で、売主又は購入希望者などの希望に応じてあっせんを行うこととなります

国交省・「改正宅建業法に関するQ&A」のA3―3)

 

3.自らが媒介を行う既存住宅における建物状況調査の実施について

建物状況調査の結果に関する客観性を確保する観点から、売主及び購入希望者などの同意がある場合を除き、自らが媒介を行う既存住宅について、宅建業者が建物状況調査の実施主体となるのは適当ではありません。なお、取引に直接の利害関係を有しない関連会社(グループ会社)を建物状況調査を実施する者としてあっせんすることは差し支えなく、この場合、売主及び購入希望者などの同意は不要です。

(A3―5)

 

4.「あっせん」にかかる報酬受領の禁止

「あっせん」は宅建業者が媒介業務の一環として行うものです。このため、媒介報酬と別に依頼者から報酬を得ることはできません。

(A3―13)

 

建物状況調査の結果が複数ある場合

「宅建業法の解釈・運用の考え方(ガイドライン)」によると、既存住宅状況調査技術者が行った1年以内の建物状況調査の結果が複数ある場合には、直近に実施された建物状況調査を重要事項説明の対象とする(Q4―8)、とされております。しかしながら、建物状況調査の結果が複数ある場合に多いと予想されるのが、売主、買主各々が実施しており、かつ、買主の調査が直近となるケースです。この場合、直近の結果のみでよいとするガイドラインの考え方に従えば、買主自身が実施した調査結果について改めて説明を行うことで足りるということになりますが、買主にとっては、むしろ売主の調査結果こそが重要な情報であるとも考えられます。したがって、本会では、1年以内の複数の調査結果がある場合には、全て説明することを推奨させていただきます。

 

上記に関しては、全宅連HPより「わかりやすい重要事項説明書の書き方」か「わかりやすい売買契約書の書き方」を選択して追補版のPDFをダウンロードして下さい。